弊社では、贈答用菓子を中心とした製造業としての基盤を大切にしながら、変化する市場環境に柔軟に対応するため、デジタルトランスフォーメーション(DX)を経営戦略の中核に据えております。
近年の景気動向や贈答文化の変化、加えて原材料価格の高騰や人材不足といった構造的課題に対し、DXは重要な対応策と位置づけています。
この取り組みを効果的に推進するため、弊社ではDXの実務執行統括責任者を中心とした体制を構築し、業務の効率化、サプライチェーンの最適化、商品開発プロセスの高度化などを目指した戦略的な施策を展開しております。
今後も、デジタル技術の活用による事業基盤の強化とともに、新たな価値の創出に挑戦し、持続可能な企業成長の実現を目指してまいります。
代表取締役社長 今西 新一郎
当社は「ギフトを通じて人と人をつなぐ」を経営理念とし、創業以来培ってきた菓子作りの技術やノウハウを活かすとともに、絶えず新しい技術などを導入していくことで、贈る人の想いと、受け取る人の喜びをしっかりつなぐ、「京の地で丁寧に作り上げるこだわりの京菓子」を作り続けたいと考えています。
継続的な製造工程の生産性向上により、品質の維持・向上、コスト削減、納期厳守を通じた事業基盤の強化を図るとともに、消費者ニーズに即した新たな商品の開発などによる企業成長を目指す。
当社はDX推進の取り組み「京竹風庵 DX(仮称)」を掲げ、デジタルを活用した継続的な生産性の向上と、売上拡大による企業成長を目指す。
- ファーストステップとして、受注から出荷までの製造工程における業務と情報の一元管理により、品質、コスト、納期の最適化と、紙のデジタル化、手作業の自動化による業務の非効率解消を図る。
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そのうえで、データ利活用環境の確立と、製造工程へのIoTの導入などによる、スマートファクトリーの構築
を目指す。
スマートファクトリーの構築により- ・データ利活用により顧客や市場のニーズを把握することで、新たな商品の企画・開発など、企業成長に向けた売上拡大施策の検討・立案を図る。
- ・IoT導入により製造ラインから収集されたデータを分析・活用することで、継続的な生産性向上に向けた「改善サイクル」を確立する。
当社が属する贈答用の菓子製造業界においては、原材料・梱包資材や燃料価格の高騰、少子高齢化による人材不足、および景気低迷や贈答文化の変化により、贈答需要が低迷していることがビジネス上の脅威になっています。
一方で、製造・加工における機械化・自動化(FA化)の進展や、「生産工程におけるIoT活用」など、幅広い業務でデジタル活用が進んでおり、DX実現に向けた業界機運が高まっている。このようなDX実現に向けた業界機運の高まりが、前述した脅威の克服と事業成長に向け、当社がDXに取組む大きな契機となっています。
代表取締役社長が主体となり、金融機関等の外部の支援者やDXサービスの提供者と連携しながら、DX情報を収集し、社内での検討・協議を深め、当社のDX戦略に最適なデジタル技術の導入を進めていきます。
- 製造工程のリアルタイムでの情報の記録と把握により生産性の最適化を図る。
- 周辺業務のデジタル化により、(当座の)業務非効率部分の解消を図る。
- データ分析基盤の構築、IoTシステムの導入などによるスマートファクトリーを構築することで、データ利活用による継続的な生産性向上を図るとともに、事業成長に向けた売上拡大施策の検討を図る。
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生産業務の一元管理
受注管理・在庫管理・生産管理を含む基幹業務のシステム化により、受注~出荷までの業務と情報の一元管理とリアルタイムでの状況把握を可能にする。
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周辺業務のデジタル化
- ・業務システムで管理している仕入データ、販売データなどを会計システムへ連携することで入力を自動化する。
- ・注文書の電子化と受注管理への入力自動化や、受領請求書をデジタル化する。
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データ分析基盤の構築とデータ活用
- ・業務システムに蓄積されたデータを目的に合わせてリアルタイムで分析、可視化する環境を構築する。
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スマートファクトリー構築
IoTで製造ラインから収集された生産現場データの分析により、生産効率の改善や品質管理の向上を実現する。
- 生産業務の一元管理により蓄積された、製品毎の受注データ、製造実績データ、在庫データ、顧客データなどを分析することで、売れ筋商品や顧客ニーズを把握、プロモーション等の強化や新商品の企画・開発などに活用することで、売上拡大を実現する。
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生産業務の一元管理により蓄積された受注データ、製造実績データ、在庫データや、IoTセンサーにより収集された製造設備・機械の温度、稼働状況データなどを分析し活用することで
- ・生産計画などの精度向上や品質・コスト・納期の最適化
- ・製造工程のボトルネックの特定、異常検出時の迅速な対応など、製造工程や品質管理の改善を進める「改善サイクル」に活用することで、継続的な生産性向上を実現する。
実務執行総責任者である代表取締役社長が主体となり、金融機関等の外部の支援者やITサービスの提供者と連携しながら、IT情報を収集し、社内での検討・協議を深め、当社のDX戦略に最適なデジタル技術の導入を進める。
具体的には以下のようなデジタル技術の導入を進める。
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生産業務の一元管理
在庫管理機能、IoT連携機能を有した基幹システム構築のため、クラウド型のノーコード開発ツールを活用する。
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周辺業務のデジタル化
請求書処理のデジタル化、受注情報入力自動化、会計システム入力自動化等のため、OCR付きRPAツールを導入する。
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データ分析基盤の構築と活用
基幹システム等より収集したデータを分析するため、BIツールを導入する。
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スマートファクトリー構築
スマートファクトリー実現に向け、製造ラインへのIoTセンサー導入、IoTネットワーク環境構築、基幹システム連携などを実施する。
DX戦略実現に向けては、各時期において下記の指標の達成を目指す。
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2026年度:生産業務の一元管理
- ・基幹システムの構築完了・業務運用の開始。
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2027年度:周辺業務のデジタル化
- ・注文書のデジタル化完了と受注管理への連携自動化による運用開始。
- ・受領請求書のデジタル化完了と基幹システムへの連携自動化による運用開始。
- ・基幹システムからのデータ収集、会計システムへの入力データ作成、入力の自動化完了と運用開始。
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2028年度:データ分析基盤の構築とデータ活用
- ・BIツールによる基幹システムや会計システムのデータ分析・利活用開始
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2028年度:スマートファクトリー構築
- ・製造設備・機械の稼働状況、温度などのデータ分析による生産効率改善、品質管理向上施策への活用開始。
実務執行総責任者である代表取締役社長の主導のもと、業務部門のリーダーと連携しながら業務横断でDXを推進していきます。
加えて、専門性の高いデジタル技術の活用に際しては、社外の専門家やベンダーなどとの協力が不可欠となるため、金融機関等との連携により外部コンサルを活用して体制を強化するとともに、取り組みの継続性を確保することで、社員全体のITリテラシーをさらに高めていきます。
実務執行総責任者である代表取締役社長の主導のもと、社内システムや、最新のデジタル技術についての教育を行うとともに、ITサービスの提供者など外部からの支援を活用して、業務知識とデジタル技術の双方に精通するDX人材の育成を図っていきます。